チッコーネ

メトロマニラ 世界で最も危険な街のチッコーネのレビュー・感想・評価

4.0
イギリス制作で監督もイギリス人だが、オール・フィリピンロケ。
言語もタガル語でメインキャストはすべてフィリピン人、現地の生々しい息吹を伝える。
魔都マニラで洗礼を受ける田舎出身の主人公家族は痛々しいが、慎みある演出/撮影に貫かれているため「観進めるのがつらい」という感想までは出てこない。
また「神様が必ず助けてくれる」という他力本願な盲信は、「利用できる者は誰でも利用する」という倫理欠如同様に寒々しいものの、各キャラクターは一様にエネルギッシュ…、時に狡猾さに満ちている。
わずか数日間で急速な同化を果たし、マニラのずさんを完璧に活用する主人公の手口は鮮やか、果たして防犯カメラの存在は予想の範疇内だったのか、それも悪徳上司の策略のひとつだったのか…。
冒頭から繋がる、どこかお伽噺のようなハイジャック・エピソードも、印象的。