イチロヲ

嗚呼!おんなたち 猥歌のイチロヲのレビュー・感想・評価

嗚呼!おんなたち 猥歌(1981年製作の映画)
3.5
ドサ回りを続けている三流のロック歌手(内田裕也)が、行きずりの女をとっかえひっかえしながら、自分本位な世渡りを続けていく。中身が空っぽなロック歌手の、性意識の刷新を描いている、日活ロマンポルノ。

ロック魂に取り憑かれている男が、ハチャメチャな放蕩劇を繰り広げる。内田裕也の実像と重複させたメタ感覚によって構成されており、「ロックな生き方のカッコ悪さ」を示唆的に含ませているあたりに、語り口の妙が感じられる。

女優陣では、角ゆり子と中村れい子が、内田裕也のグルーピー役を演じており、ドロドロした奪い合いと一蓮托生を展開していく。一緒にドサ回りする世話役の安岡力也が、ホモソーシャル的な雰囲気を作っているところも醍醐味。

盲目的な女性ファンの描写が浅いため、「女性映画を作れる監督」としての神代らしさはイマイチ感じられない。だが、「ジョンとヨーコ」のような人間関係を築くことができないロック歌手の、退廃の美学はそれなりに感じられる。
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