田舎者なので、「都会の人間による田舎暮らし礼讃」というものに懐疑心があって、この映画にもそれを感じて手を出さないできたが、開明獣さんのレビューを読んで或いはもしや、と思ってアマプラで鑑賞。
ドキュメンタリー風映像プラス孤独のグルメ的な日常系グルメリポートを、主人公演じる橋本愛のナレーションでひたすら説明する特異な造り。
最初は面食らったしうるさいとも感じたが、演出はむしろ抑制されており、何より映し出される日々の暮らしの映像が端正で力強いので段々気にならなくなっていく。
懸念していた「素敵な田舎暮らし万歳」的な過剰さは無く、ただ淡々と山村での毎日の食にまつわるあれこれを丹念に描写する事によって、つい忘れがちな「日々の暮らしの細部に神が宿る」という感覚を思い出させてくれる。