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ハイヤー・ラーニングのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ハイヤー・ラーニング(1995年製作の映画)
4.2
新学期、今年もコロンブス大学のキャンパスは新入生たちで溢れている。その中にはカリフォルニアからやって来たクリスティ(クリスティ・スワンソン)、陸上選手として奨学金を得て入学した黒人学生のメリック(オマー・エップス)、エンジニア志望のレミー(マイケル・ラパポート)の三人がいた。彼らは、黒人学生のリーダー、ファージ(アイス・キューブ)、厳しいがメリックのよき相談者でもあるフィリップス教授(ローレンス・フィッシュバーン)、レズビアンで性差別をなくす運動をしているタリン(ジェニファー・コネリー)などさまざまな人々にキャンパスで出会う。やがて彼らもしだいに大学生活に溶け込んでいったが、ある日、クリスティがデートレイプされそうになり、それが黒人学生と白人学生の対立にまで発展してしまう。この事件以降、クリスティはタリンの運動に加わるようになるが、その一方、友達ができず、孤独なレミはネオナチのグループにのめり込んでしまう。そしてクリスティが企画した差別撤廃の集会で事件は起こった。集会の最中、レミが校舎からライフルを乱射し始めたのだ。恋人デジャ(タイラ・バンクス)を撃たれたメリックはレミのもとに走るが、追いつめられたレミは制止にも関わらず、拳銃で自分の頭を撃ち抜き、自殺した。この事件が残した苦い教訓を胸に秘め、クリスティとメリックはそれぞれに再出発していくのだった。コロンブス大学を舞台に、陸上競技の奨学金のために陸上競技部の練習と学業の両立に苦労するマリクとデートレイプされたのをきっかけに性差別の問題に目覚めるクリスティンと大学内で孤立しネオナチに洗脳され破滅するレミーを通して、アメリカの中で息づく人種や性差別、カテゴリーからはみだした者が生きていくことの難しさ、アメリカの困難な情況で生きていくために何のために勉強するのかを、フィップス教授のレポートのテーマ「自分のイデオロギー」についてのレポートを提出するマリクやクリスティンのレポートの内容やマリクとデジャの恋や学校で孤立しネオナチに洗脳されるレミーの孤独と狂気やマリクとフィップス教授やファッジの交流を通して描いた傑作青春社会派映画です。対立は拭い難くあるけど、繋がり分かり合えるかもしれない仄かな希望を感じさせるラストも、爽やかです。
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