ターミガン

平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊のターミガンのレビュー・感想・評価

3.5
平成ライダー15作品目・2014年春休み公開

2023年公開『シン・仮面ライダー』を観て感じたもの、湧き上がった疑問…自分はライダーに何を求めているのか?
そんな諸々の欠けたピースを探したくて東映が作った昭和ライダー参戦の本作をレンタル。

(※視聴者投票によって決められたマルチエンディング方式
昭和ライダー推しのファンはレンタルでなくセル版のDVDをオススメ)


主役は仮面ライダー鎧武
不思議な能力を持った少年シュウと出会い、そこへ本郷猛(藤岡弘、)が現れ、シュウを連れて行ってはいけないことと、仮面ライダー鎧武を認めないことを言い放つ。
同時に地下帝国バダンは、黄泉の国から現世へ蘇る為に地上への侵攻を開始する……といった導入。
(※トッキュウジャーとキョウリュウジャーはオマケみたいなもん)


昭和ライダーの客演には、
1号/本郷猛 藤岡弘、
X/神敬介 速水亮
ZX/村雨良 菅田俊
の3名。

冒頭からストロンガーやスカイライダーそして巨大Jもが平成ライダーと闘うシーンで胸熱なのだが、CGフル活用。

そう、現代の特撮はやっぱりCGが主体なのだ。
身体から火花は散るものの、昭和ライダーのように火薬を大量に使った派手な爆破はほぼ見られない。

ひとくちに特撮といっても、昭和と現代では大きくベクトルが違う。
そこが自分の中でアップデートできているかどうか。

平成ライダーが嫌いなワケではないし「龍騎」や「ディケイド」なんかも見ていた方だが、思い入れが強いのはやっぱり昭和ライダー。

だからRXがここぞという場面でリボルケインを使う事にカタルシスを感じるのであって、変身直後から剣や銃ありきでバトルされてもノリきれない。


自分の中で整理が出来てきたところで、リメイクやリブートというのは“思い出との闘い”である、という事がどんどんクリアに分かってくる。

2023年に引退したプロレスラー/武藤敬司の言葉に「思い出とケンカしても勝てっこねぇ」という名言があるが、多感な時期にどのライダーを見て、どのシーンが瞼の裏に焼き付くかは人それぞれ千差万別。

歳を重ねて劇場に足を運んだとき、自分に思い入れのあるシーンや演出がピックアップされているとは当然限らないわけで、更にベクトルも変わっているし、そんなこんなが視聴者の数だけあるわけだからリメイクやリブート作品では結果的に賛否両論が起こりやすいのだという至ってシンプルな所へ帰結した。


とは言っても、平成ライダー側として客演した555/乾巧(半田健人)は良かった。
猫舌で熱い食べ物を警戒するキャラクター性と、現世と死後の世界を彷徨う草加雅人(仮面ライダーカイザ)の言葉に囚われ葛藤し続けている。

それを叱咤激励するのが仮面ライダーXこと神敬介なわけで、父と死別している神敬介の言葉は説得力が段違い。

そんな二人のドラマも見応えがあった。


脚本面は実はかなり頑張っていたと感じる。
鎧武の世界でディケイドとWと555を出す意味付けをしなくちゃいけないし、その上で“昭和vs平成”というライダー同士の世代闘争にもドラマを成立させなくてはいけない。

序盤こそそれはZXを含めた昭和側の計画であったが、平成ライダーの多くが【仲間を失った痛みと想い】を抱えており、そこからくる迷いや負の感情がバダン的なものを招く要因となっている、という因縁付けはよく出来ていたと思う。


演出面では、Xの変身が「セタップ」だったけど「大変身」も見たかった。
(※結局、見たかった感情を我慢できてない←)

ZX/村雨良の菅田俊さんは、昭和陣の中で一番コワモテなんじゃないかって特性を活かして暗闇大使化していたけど、むしろ正調な変身が見られて得したとさえ思えた。
次はビルゴルディをお願いします←


バダン総統のcv.は関智一さんが担当していると知って驚いた。
初代の納谷悟朗さんにかなり寄せて演技しているし、初見では関さんと気付かなかった。


エンドロールではZXの主題歌を「ドラゴン・ロード2014」として串田アキラ氏が歌い上げていた。熱い!