このレビューはネタバレを含みます
設定に興味を抱き鑑賞。
鑑賞後の率直な感想は不自然さが残る気持ち悪さである。
太田が後藤への憧れから剃毛した毛を持ち帰りコレクションしたのち自身のツルツルな腕に被せてみたり口に含んでみたり、少しずつサイコパスの片鱗を見せていく。
後藤との関係が解消され、枯渇した太田はいよいよサイコパス人間へと変貌する。
ただ、一見すると太田がかなりヤバい奴に映ってしまうが、
実際のところ後藤が一番恐ろしい。
中性的な太田とはいえ、関係の浅い男子に剛毛であるコンプレックスを急に曝け出し感情的になりながら剃毛を提案。恥じらいつつも水着に着替え、加えて脇毛処理も乞う。
仕舞いには陰部の剃毛を懇願する太田を受け入れ、
『剃ってくれたら好きになってあげるから。』
と変なスイッチが入り、いつの間にか後藤と太田の攻守が入れ替わる。
青春の甘酸っぱさに普通では無いこの2人を絡める事で奇妙でアブノーマルな世界観が出来上がっていた。
彼ら的には歪みという概念は無く思春期らしい純粋な魂の嘆きだったのだろう。
そんなそれぞれの想いは理解できるのだが、変貌ぶりが急加速過ぎて作品として気を衒っているように感じてしまった。
あと剃毛シーンで挟まれる森林に喩えた太田の心理世界。
わざわざ心理世界で喩えながらコメディ感を出すよりも繊細な思春期にコンプレックスを抱えた男女の戸惑いを表情や剃る音、息遣いなどの"生々しさ"での表現に焦点を当てた方が良かったと思う。
序盤コメディ風でその後の極端なサイコパスに違和感は残り続けるが、結果記憶の片隅にだが少し濃いめに残るだろうなと。
なんだかんだ言って面白い作品だった。