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ミスターGO!のmatchypotterのレビュー・感想・評価

ミスターGO!(2013年製作の映画)
3.3
これは、これは。
韓国映画、骨太なドラマと、えげつないバイオレンスに興味が絶えない。そして、これに手を出す、ものすごいキワ物、に。

前から知ってた『ミスターGO!』。
人間と共に暮らしてきたことで、中国語を理解し、人と共に生きるゴリラ。

サーカス団の団長親子と共に過ごし、曲芸なんてお手のもの。言語も理解し、もはや動物というよりサーカス団、そして家族の一員。

母親がいないサーカス団の団長の娘と苦楽を共にするゴリラ、リンリン。
団長が野球賭博が好きだったことから一緒に野球を観て育ったことで、なぜだか野球の才覚が目覚めるリンリン。

そのサーカス団が資金難に陥り、追い打ちをかけるように災害が起き、頼り甲斐はないけど頼りの団長も他界。

残らせた娘が、サーカス団の存亡を背負わされ、借金取りに抵抗しながら生きながらえるサーカス団。
それもついに年貢の納め時、、、の時に、娘とリンリンが決断する。

韓国に渡り、プロ野球の球団と契約し、リンリンが野球選手となり、金を稼いで戻ってくる、と。

そこから、リンリンと娘と、彼らと契約したエージェントの男の奇妙な3人の生活が始まる。

正真正銘のゴリラが人間社会にやってきて、人間のプロ野球業界に入る。
周りからの偏見や見た目の危険性を訴える周囲と戦いながら、リンリンの、リンリンとしての人権ならぬゴリラ権を手繰り寄せていく物語。

この映画、スプライズキャストが2人。
まず、ちょいちょい実況席にいて、実況してるんだけど、野球の実況よりもゴリラの習性についてやたらと解説する男、、、マドンソク、マブリーじゃないか。
一瞬でわかるその存在感。なぜ、そこに座ってるんだ、スゴイな。

そして、もう1人。
リンリンの活躍が海を越え、日本の耳に入り、日本の球団もリンリンに興味を持ち始める。
そして、中日のオーナーがやってくる、と。やって来たオーナー、オダギリジョー。

何だその髪型は。30年も同じ美容室で切ってもらってるだと?彼の設定、そして、それを乗りこなすオダギリジョー、スゴイな。

この作品全体がゴリラ風味の奇抜な物語と圧倒的なインパクトがあるので、マブリーにしろ、変なオダギリジョーにしろ、多少クセを強めにしたところでまったく問題ない。
むしろ、そのレベルでも勝てないゴリラの覇道、存在感、恐るべし。

実はこの映画に出てくるゴリラは1体ではない。やや凶暴なヤツがもう1体。そこが後半、まさかの展開でさらに話を大きくする。

借金を返すためのお金を稼ぐためにサーカス団を離れ、不慣れな生活の中でプロ野球界で、契約と金と政治にも巻き込まれる。

最初は物珍しさが先行する興行があり、リンリンを巡る野球とビジネスの話があり。

しかし、絶えずその中で揉まれながらブレずにリンリンと娘と、リンリンと周りの絆を描く。

最後の対決の“粉々”からの展開、それは本当にそうなのか。そういうルールなのか。

そして、最後の“タイマン”からのインパクト、やっぱり人類では出せない迫力がある。

サーカスあがりのプロ野球ゴリラ。
めちゃくちゃ飛び道具的なキワ物映画なのに。なのにここまでドラマを仕立て上げ、話としてちゃんと着陸させる。

マブリー、オダギリジョー、その他たくさんのお祭り騒ぎ的なキャラや設定を持って来ても、全てを持っていく圧倒的、絶対的インパクトのゴリラとの野球と絆の物語。


F:1967
M:1067
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