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ヴィオレッタのkatomのレビュー・感想・評価

ヴィオレッタ(2011年製作の映画)
4.7
たしかにアンナはヴィオレッタを愛しているのだろう
だけど一般的な愛の形からは歪みすぎていて世間はそれを愛と認めないし、娘のヴィオレッタからも嫌われる始末

でもアンナも実の父親からレイプされた過去があり…

ヴィオレッタが途中でアンナに、「私たちも近親相姦してる」みたいなことを言うシーンがある。
勿論それは広義での近親相姦で、実際に触れ合ったり、とかそういうことを言っているのではないけど、そのたった一言の台詞が意味してるのはアンナが少なからずヴィオレッタに対して商売道具以上の感情を抱いていてヴィオレッタもそれに気づいている、ということだろう。

また、アンナは父親にレイプされた過去をもつものの、父親の墓でオナニーしてるシーンがある。ヴィオレッタが雑誌の記者に対して「死は娼婦よ」と発言した直後に墓オナニーシーンが挿入されていることから、墓オナニーは日常的に行われているのだろう。
彼女の中には、父親との特別な関係を、ヴィオレッタにも求めてしまう自分がいるんだろうか。

アンナは正常な親子関係を体験したことがないから親が子にどう接するのが普通なのかわからない。世間からすればアンナとヴィオレッタの関係が異常なものに見えるように、彼女の目には普通の親子関係が異常なものに映っているはずだ。

たとえ血が繋がっていても根底にある “あたりまえ” が違うから愛が一方通行になってしまう悲劇。愛の不毛は続くよ、どこまでも。
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