ブタブタ

シュトルム・ウント・ドランクッのブタブタのレビュー・感想・評価

2.5
ヒロインである謎の女・松浦エミルを演じる中村榮美子さんは名古屋を拠点とする劇作家で美術家・天野天街さん主催の「少年王者館」に所属しており一年程前に天野天街コラージュ作品を集めた展覧会があって見に行きました。
場所は「揚輝荘」という大正時代に建設された和洋折衷のモダンな別荘で、劇場があったり秘密の地下道があったりする楽しい建物で今は色んな展覧会やイベントをやるスペースとして解放されていて「揚輝荘天街(きそうてんがい)展」と題された展覧会に会期中何回も行きました。

天野天街氏は演劇のポスターや美術も手掛けていて、その斬新かつシュールなコラージュ作品は素晴らしくて、その原画が壁一面を埋め尽くす様は圧巻でした。
で『シュツルム・ウント・ドランクッ』ですが天野天街氏も出演してるんだから美術デザインをやって欲しかった。
それに尽きます。
あの天野天街のコラージュアートのシュールかつ細密で強迫観念的な世界を舞台に大正時代に存在した無政府主義結社「ギロチン社」の虚構と現実が入り交じる、暗躍と破滅を描く幻想活劇だったら凄かったと思います。

関東大震災の混乱の最中に起きたアナーキスト大杉栄・伊藤野枝の殺害事件。
その実行犯である憲兵大尉・甘粕正彦への復讐のみならず、無政府主義テロリスト集団ギロチン社の「英国王子暗殺計画」「福田戒厳令司令官暗殺計画」等など、どれも出来の悪いコントみたいに気が抜けて緊張感もなく全て当然の様に失敗し、フィクションにおける映画的盛り上がりに欠けるというか。

ギロチン社リーダー中浜哲とサブリーダー的存在の古田大次郎をもっと超人的に描いて其れこそタランティーノがやるみたいな現実や歴史改変、思い切りフィクションに振り切れてた方が面白いと思う。
同じくギロチン社を描いた『菊とギロチン』も見たいけど長いのとあんまり評判良くないのと、それと中浜哲を?演じてるのがが不倫(笑)なんで。
(;-ω-)ウーン
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