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瞳の中の訪問者のMOCOのレビュー・感想・評価

瞳の中の訪問者(1977年製作の映画)
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「君が持ってきた目は殺された女性のものなんだぞ」(ブラック・ジャック)


 小森千晶(片平なぎさ)は南部京子(志穂美悦子)と共にテニスのダブルスでインターハイ出場を目指していたのですが、練習中に今岡コーチが打ったボールが左目を直撃し、インターハイの出場どころか視力の回復は絶望と診断され、今岡は担当医からブラック・ジャックを紹介されます。

 ブラック・ジャックは天才外科医なのですが法外な礼金をとって手術を引受ける闇の無免許医師です。
 ブラック・ジャックは手術代として3,000万円を要求するものの無免許医のためにアイバンクから角膜の提供を受けることができず、今岡が密かにアイバンクに侵入して無断で持ち出した眼球の角膜が使われます。
 手術は成功し、千晶は再びテニスができるようになったのですが、角膜移植をした左目にコートを着た青白い顔の男が現れるようになります。

 ブラック・ジャックは角膜の提供者は手術の直前の朝、狭霧湖で首を絞められて殺されボートで発見された23才の人妻のものであったことを突き止めます。

 千晶はいつしか幻の男を恋しはじめ、ある日街角で偶然その男をみつけるのですが見失ってしまいます。
 
 京子は今岡に恋をしているのですが今岡は千晶を愛し始めていて、千晶は瞳の中の男に恋をして・・・。

 今岡は角膜欲しさの殺人の嫌疑がかかり逮捕され投獄されすぐに釈放されるのですがその期間に、千晶はテニスの部活を休み街を徘徊し瞳の中の男を探し始めその男・風間史朗(峰岸徹 )と出逢います。風間史朗は千晶との会話から千晶の角膜は自分が殺してしまった元恋人楯与理子(ハニー・レーヌ)のものと気づいてしまうのです・・・。
 風間史郎と与理子は以前パリに留学していた恋人同士、日本に帰った与理子から突然の別れの手紙に驚き帰国したら与理子は既に人妻になっており「殺して」と言われ・・・。
 風間史郎は与理子を殺した狭霧湖に千晶を誘うとボートに乗り無理心中の本懐を果たそうと千晶の首に手を回し・・・。


 監督は「元祖ジャパニーズホラー」「元祖アイドルホラー」の映画『HOUSE ハウス』の大林宣彦氏。
 初監督作品『HOUSE ハウス』がヒットした後第二弾で選んだのが手塚治虫氏の漫画「ブラック・ジャック」のエピソード『春一番』なのですが、この映画出来は相当に酷いものです。

・今岡コーチが手術を依頼しに行ったのはブラック・ジャックではなくて『瓢箪つぎ』ではないかと思うほどひどいつぎはぎの顔です。黒人少年から移植されたはずの皮膚はまるで青カビでも生えたかのようなこの世のものとは思えない色の皮膚です。「その色はないだろー、絶対原作読見込んでないだろー」
・投獄された今岡は私服のまま肩にセーターを縛っているのです「自殺でもしたらどうするんだ」
・ボートの上で千晶の首を締めた風間はバランスを崩しボートは転覆し風間は謎の溺死をするのですが、翌朝の新聞報道は『狭霧湖の殺人事件解決 犯人は自殺』「???」
・事件が解決して心優しきブラック・ジャックは今岡の将来に役立つだろうと手術代金の3,000万円を返すと机に広げるのですが「先生を誤解していた」といいながらお金はそのままさようなら。「お金はどうするんだ」
等々、監督得意のイメージ重視の理解不能映像連発です。
 大林宣彦監督のセンスというか作風は映画の画面に突然切り貼りした写真が現れる前衛的と言えば良いのか?モダンアートが組み込まれたような作品だったり、女性をセンターに持ってきて四隅に軽いボカシを入れたポートレート風の映像を使ったりするのもですから、それが良い方は高い評価をされるのですが、突然自然な流れでなくなることを嫌う方は酷評になる作品だと思います。

 大林宣彦監督の作品がワイドショーなどで取り上げられるとMCの方がこぞって作品を誉めたものですから、多くの映画好きの方もその作品に高い評価をしていたようですが、私には・・・。


 台湾映画の「The eye」の出来があまりにも良かったのでそういえば角膜移植の話(この映画)があったよなぁーと、ちょっと期待して観たのですが・・・☆0です。
 
 
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