佐藤克巳

ゲンと不動明王の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

ゲンと不動明王(1961年製作の映画)
4.5
ゲンの小柳徹は、若くして交通事故で亡くなったニュースを今でも記憶している。やんちゃ坊主の彼の言動、行動は当時の男の子の自然な対応であり、他人に預けられる環境も当たり前なんだけど、現代の子には理解出来ないだろう。本作のモノクロに封じられた世界は、当時の日本の田舎をそっくりタイムスリップさせた空間が広がっている。不動明王三船敏郎は諭すのはただ一点、「少年よ逞しく生きよ」である。笠智衆、千秋実等登場した全ての大人たちは、善良な日本人の暖かい心の眼差しを子供たちに日々送っていた。懐かしい良き日本の幻となってしまった。
佐藤克巳

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