あなぐらむ

妻たちの性体験 夫の眼の前で、今・・・のあなぐらむのレビュー・感想・評価

4.0
蓮見ンも公開時に激賞したという小沼勝監督作。
80年代ロマンポルノを支えた小水一男(ガイラ)脚本は、開巻間もなく暴力の香りを漂わせ、その中でやはり見る/見られるの関係性が際立つ。有閑マダムからファム・ファタルに変転していく風祭ゆきがただただ美しい。

ただタイトルに偽りがあり、性体験する「妻」は風祭ゆきさん扮する「沙織」のみ。日高ユカ扮する、ちょっと頭の足らん風俗嬢(にして夫の愛人)も出ては来るが。多分この頃、話題になった書籍かなんかからタイトルにしたものかと思われる。お馴染み、宇南山宏が絶妙の塩梅。

クライマックスでゆきさんが学生連中に輪姦されるシーン(前半から作劇において周到に準備されている)は、トークショーに来場されていた中田秀夫監督も言っていたが、まるで「おんな」という神輿を担ぎ上げてる男達の祭のように見える。小沼監督のデビュー作「花芯の誘い」とリンクするような映像。
それを見せられ勃起する夫。見る/見せる/見られるの構図は通底音として小沼作品にあり、それが時にSMに振れ、「さすらいの恋人」のように白黒ショーという行為となる。多くの場合は男性は女性が開花していく事に慄然となるのだが、本作では妻が性に対して開花する。
女性の時代への変遷も、映画の中にある。