藻類デスモデスムス属

スウィング・オブ・ザ・デッドの藻類デスモデスムス属のレビュー・感想・評価

4.5

最近(でもないが)ずっともに勧められ(どれどれと)みてよかったのが「ベイビーワルキューレ」と、この「スウィングオブザデッド」だった。どちらも対照的な二人組が主人公であり、ひとつはアクション映画で、ひとつはゾンビ映画、となるのだろうが、それぞれアクションではないところ、ゾンビではないところの描き方が魅力的だったと思う。

こちらではゾンビが状況(環境)として描かれる。circumstanceだけでなく、environment としても。ゾンビはのろいタイプの方で、緊迫感があまりない。周囲に気配を感じながら、不便に移動しながらではあるが、生活が営まれている。ゾンビが人を齧るシーンよりも、人がりんごを齧っている。音楽もあれば、酒もある。ゾンビ映画でのどかさや、みずみずしさを感じたことはかつてなく、読んだことのないキャンプ漫画に思いを馳せた。もし現実にゾンビが広がったら、案外こんなものかもしれない、と妙に納得した。

しかし、油断はできない。激しさや敏捷性はないとはいえ、じわじわと迫ってくる。いつこちら側にはみ出してくるか。消耗戦である。気づいたら取り囲まれているかもしれない。なにせ相手は環境なのだ。それに挑むのはバッテリーの二人組。「ただそれだけの仲さ」というように、友人でも恋人でもなく、「ただそれだけの仲」が話に奥行きを与えている。原題もBattery。Swing of the Deadも、なるほど、と途中思わされたが、原題の方が好きかもしれない。ゲージが赤くなり、終盤に動いた。ラストは爽やかですらある。