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紙の月のaccoのレビュー・感想・評価

紙の月(2014年製作の映画)
3.0
必然。

契約社員の初月給でプレゼントされたペアウォッチを、ゴルフ用に格下げする。
すぐに腕時計でプレゼント返しする。
上海赴任にはもちろんついて来ると思ってる。
仕事はすぐにでも辞めてと当たり前のように言う。
挙句、今までは後回しにしてた子作りを急に匂わす。なぜならよその子が可愛くて自分も欲しいなぁって思っちゃったから。

基本、自分の妻は反論するタイプではないと思ってる。自分が導くままについてきてくれればいいと思ってるし、そういう女性だから居心地よくて結婚してる。

夫は柔和だけど本質的には無神経。

対して妻は、
おしとやか。
我を通そうとはしない。
傷つくことをされても「なんでそんなこというの!」とは言わず、ぐっと飲み込む。
勤勉。
恐らくそれが美徳と育てられた。

だけど妻の本質は、実は凄く頑固。
そして狡猾さも持ち合わせてると思う。
施しの精神を教え込まれてしまってるので、
自分のしたいことが自分がやるべきことにシフトしてしまう。
そしてそれを貫く頑固さとちょっとの狡猾さが不運にも交わってやってはいけないことにも手を出してしまうし、さらに頑固さと狡猾さでそれを正当化してしまう。


あの夫と結婚してなければ、恐らく年下男性にはなびいてない。
なびいてしまったとしても、成長過程で精神的影響を受けたものがちがったら横領は繰り返してない。
狡猾さがなかったら、化粧品代を立て替えただけで終わってる。立て替えもしてなかったかも。

人の本質的性格と、家庭環境・教育環境がそれぞれの歯車が、一見噛み合ってそうでじつは微妙なズレがあったから招いた崩壊。

最初から最後まで、ちょっと触ったら割れそうなガラスのような宮沢りえの演技は凄かった。
他共演者もそれぞれの人間性がわかる表現で素晴らしかった。
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