テルヒサ

紙の月のテルヒサのレビュー・感想・評価

紙の月(2014年製作の映画)
4.7
どこまでも美しく、どこまでも偽物。
宮沢りえさんの前半の少しずつ乱れていく美しさと、後半の悪に手を少しずつ染めていく美しさのグラデーションがすごい。平凡な主婦が壊れていくストーリーとしては普通かなとは思ったけれど、キャストで作品の魅力を底上げした作品。
あと終盤の独白や所々のお金、偽物に関するやり取りが好き。偽物でも良いじゃない、綺麗なんだから、とか、偽物だから壊してもいい、とか、お金という偽物で得た自由もまた偽物、とか、お金を基準に自由や価値観を考えさせられて良かった。
ラストに一つだけ、本物を見れたことは梨花にとって良かったことなのか。ラストカットが秀逸。
映像も好み。段々と影の濃淡や使い方でキャラクターや心情を表現していくグラデーションが良かった。音楽が少ないのも良い。効果的なスローて大事。
テルヒサ

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