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紙の月のmofaのネタバレレビュー・内容・結末

紙の月(2014年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

【最後でイッキに興醒め】

どう受け止めて良いのか分からない。

 ふつうの主婦が、陥っていく恐怖。
明日は我が身・・・・的なものを求めていた私には、その辺りのリアリティさは皆無のように感じる。

 そもそも、痩せこけた貧相な宮沢りえが、
若い大学生にのめり込むまでの過程が、
どういう流れで、そうなったの?とか。
なんで、いきなりホテル行くことなったの?みたいなところを描いて欲しかった。
 さえない大学生と冴えない主婦が、そういう関係になるキッカケ・・・
それが、この横領のスタートになるのだから、そこは、丁寧に描いて欲しかったところ。
 
 主人公の路線もはっきりしない。
普通の平凡な主婦が、横領を繰り返していくのか、
それとも、お金をつぎ込む「素地」があるからこその犯罪なのか・・・・

 いずれにせよ、
過去の寄付問題を、彼女の犯した犯罪にリンクするのも、
なかなか困惑する。
 寄付をしたがる・・という「素地」が、いわゆる、男に「貢ぐ」に変化していくという事なのか。

 それとも、平凡な主婦でも、横領をするんだぞぉ~・・というところを描きたいのか。

 平凡路線ならば、最後のシーンで窓を割り、逃げるなんて事はしないだろう。

貧相な宮沢りえを見ていると、まじめで実直な主婦がねぇ・・と興味を引かれたが、

間に割り込む過去の映像、最後の窓割りシーンで、
完全に興ざめし、
まさかの、海外逃亡で、
「はぁぁぁぁぁ??」と、ありえんでしょうと、怒りがこみ上げる。

 欲望に溺れた、バカ丸出しの女が、
捕まりもせず、贖罪もせず、終わる映画があるだなんて・・・・。

 理性を持ち、真面目に生きている銀行員の先輩が、
まるで、その一歩を踏み出せない人間・・・・・という描き方は、
納得がいかない。

 貧相な宮沢りえが、お金に溺れ美しくなっていくのか・・・と思いきや、
これまた、あまりに痩せすぎで、それほど、グレードアップしていない。
 お金を使ってもグレードアップしないのか・・・・という所が、
主婦の限界だと言いたいのか。

 結局、このバカ丸出し女は、どれだけの金額を横領したのか。
そして、この女を取り囲む人間にどんな変化をもたらしたのか。

1番大事な最後のシーンは、
何ら変わらぬ平凡な日常と、
この横領と、過去の「寄付」をリンクさせ、
彼女のやったことをまるで、「神秘化」させているような、しめくくり。

この映画を観て、
「主婦でも、こんな事してしまうんやな」という教訓も恐怖もない。

そういう意味では、
宮部みゆき「火車」の方が、より警鐘を鳴らしてくれるに違いない。




まぁ・・・・しかし。
邦画は低迷しとるな。
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