前編。雨の路地裏に横たわるボロ雑巾のような女性を自宅で介抱し、セックスにまつわる比較的どうでもいい身の上話を延々とし続ける2時間。
vol.1はvol.2のための伏線の要素が強いため過激さはそれほどでもなく、その分この監督独特のセンスで編まれた脚本を堪能することができます。
性の経験に生きた女が、本の知識に生きた男に人生のありのままを言葉で説明する構図は面白く、ただの独白ではないそれぞれの批評が味わいを与えています。男が一生懸命ひけらかした蘊蓄に「そういう話は全然おもしろくない」とバッサリいく無慈悲なやりとりが象徴的。
決めどころをおさえた音楽やデザイン性の高い映像のクオリティは安定しており、どれだけ下品で恥辱的な内容でも映画としての仕事は憎たらしいほど丁寧です。
前編のハイライトはユマ・サーマンのMrs.H。最悪の状況で最悪の人間がひたすらわめき続ける最悪の言葉。あまりのバツの悪さに周囲の人間はドン引きし、どうしようもなくなったユマ・サーマンも最後「わーーーー!」と叫んでいたりしていろいろ最高でした。
エンドロールでは後編の予告映像もしっかり流し、ダサいのかオシャレなのか、頭がいいのか悪いのか、エロいのかエロくないのかよくわからないvol.1でした。
4時間の映像作品として一気に観るのがおすすめです。