theocats

グレート・ビューティー/追憶のローマのtheocatsのレビュー・感想・評価

5.0
壮大な虚飾映像遊戯?しかし徐々に深層心理

に深く作用しエンディングにおいて言いようのない余韻に浸る。そんな真の芸術的ポエジー映画。

ストーリーを要約できるほど完全把握は正直出来ていないが、イタリアローマのインテリ層に属するシニカルな老小説家の心理的変遷を辿ったものらしい。

とにかく相当贅沢な撮影の仕方と、手数をかけた編集が素人でもよく分かる。
そのためストーリーは分からなくても映像を目で追うだけで何らかの幻惑にはめられたような不思議な心境に陥ってしまう。

恐らく聖女としてあがめられるに至った高齢シスターの口数少ない金言が小説家に決定的心理ショックをもたらしたようだが、それは老境に足を踏み入れている私にとってもハッとする瞬間だった。

数年後か十年後、または数日後にでも再視聴して見たい。

4.8の五つ星


この手のイメージビデオ的映画を以前にも見たことがあり、本作同様深く印象に刻み込まれている。

追記:最視聴しよりストーリー理解は深まったが、本作を魅力的たらしめているのはローマの遺跡や建築群の重厚さを伝えてくれるリッチな映像(これがなければ陳腐な話でさえあったかもしれない)、爛熟しているが退廃的でもあるローマインテリ層の社交的雰囲気に「抗いえない枯れ行くだけの憂いや虚しさ」のようなものをまんま自己投影したからなのだと思う。富裕層でもインテリ層でもないけどね。
002105
theocats

theocats