香楽

グレート・ビューティー/追憶のローマの香楽のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

今まで観た中で最も美しい映画✨✨

タイトルに違わず、ローマの歴史的建造物や風景も、ライティングも、カメラワークも、音楽も美しく、とにかく映像美に圧倒される。

全編ローマの観光PRムービーか、ミュージックビデオでもあり。

大したストーリー展開もないのに、2時間20分が短く感じる。
イタリア好きとしては3時間でも4時間でも観ていられる。

一方ストーリーらしいストーリーはない。
若い頃一発当てた作家がその時の稼ぎで65歳まで享楽的・退廃的な生活を送っていたが、初恋の女性の死を知り、人生を振り返り作家として再起する話。

あらすじを読むと初恋の女性が映画の中で重要な要素のように思えるが、そうでもない。単なるキッカケで、割とサラッとしている。

映画のストーリーに重きを置きすぎて、起承転結や伏線回収に慣れ過ぎている自分を反省する。

それよりもテーマが重要。
「人生の意味を問う」
映画や小説で頻繁に出てくるテーマだが、本映画ではより掘り下げ具象化して
「大いなる美を求める」(=結果、人生の意味を問う)
としているのがポイントだと思う。
(「人生の意味」だと漠然とし過ぎてて、答えに辿り着きにくい)

本映画ではファッション、アート、演劇パフォーマンス、美しい女性達、とたくさんの芸術・美と言えるものが登場するが、主人公は興味がなさそうだったりバッサリ断罪したり。

主人公が感銘を受けているシーンを挙げてみると
・友人の家を訪ねると、夜中突如ライトアップされた美しいキリンが現れる
・青年が生まれた時から毎日1枚父親によって撮られた写真が壁に並べられているのを眺める
・フラミンゴの大群が一時自宅で羽を休め、修道女がふっと息を吐くと一斉に飛び立つ
・104歳の修道女が一歩一歩膝で教会の階段をイエスに向かって昇っていく(但しこれは主人公は直接見てはいない)

自然や生き物の美しさであったり、人間の場合は高い精神性もしくは愛情を感じるものであったり。

この辺のシーンに「大いなる美」の答えのヒントがあり、主人公は余生をかけて探して行くのだと思う。
香楽

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