カラン

グレート・ビューティー/追憶のローマのカランのレビュー・感想・評価

5.0
素晴らしいな〜。

ソレンティーノは3作目。イタリア語の映画作家で追いかけたくなる監督さんが、あまり見つかっていなかったので嬉しい。『グランドフィナーレ』と『LORO 欲望のイタリア』を観た。トニ・セルヴィッロToni Servilloさんという役者を気に入っているからなのか、それとも地位や権力を持っている連中をモチーフにとることが単に続いているからなのか、基本的に主要人物の年齢が高めというのが面白い。あんまりね、爺さん婆さんばかり撮るという監督さんもね。『ゴッドファーザー』好きだったりしてね。(^^)

このソレンティーノ版『ローマ』はセリーヌのかっこいいプロローグで始まる。ヴィスコンティ的有閑階級をフェリーニ的なキャラでどぎつく囲みながら、打ち込み系ドゥンドゥンクラブサウンドで唐突に『踊るマハラジャ』的に爺さん婆さんが乗り乗り。ヘロインでも酒でもセックスでもコンテンポラリーアートでも同じ、シニカルでドライな目線が堪りません。宗教に関してはフェリーニの『ローマ』のものを刷新できているよね。素晴らしい!

ヨーロッパの映画らしくぐっと深い色調の中にローマの川やプールの水面、街灯、ショットグラスやウィスキー、豪奢な家具の反映、或いはこれが非常に風合いがいいのだが、鬱蒼とした垣根の間の格子の奥に捉えた聖なる領域、こうした光がとても強い。非常に、非常に、強度の高い光線をカメラは捉え続ける。デジタル撮影の良さを活かした解像度が高い表現なのだが、極めて強い光をスクリーンが発散する。

Filmarksの皆さんはあまり興味がないかもですが、これはご自宅の映像システムの力が問われていますぞ。(^^) スクリーンがギラギラする。相当なコントラストと階調表現力のあるプロジェクターはもちろん、迷光対策を徹底する必要ありますな。レンタルのDVDで視聴して、やられたーって感じでした。
カラン

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