ラグナロクの足音

グレート・ビューティー/追憶のローマのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

3.9
さすがにカメラワーク華麗すぎ。かつて作家として成功を収めた65歳の主人公は40年前に一発あてた小説で成功したセレブであり、ジャーナリストとして活動している現在も、毎晩セレブたちと乱痴気騒ぎのパーティー三昧。しかしそんな生活にも飽きていた ある日初恋だった人が亡くなったと報告を受け改めて人生を振り返りながら、もう一度筆を取ることを決意するというもの。

冒頭の詩:
旅に出るのは確かに有益だ。旅は想像力を働かせる。これ以外のものはすべて失望と疲労を与えるだけだ。これは生から死への架空の旅の物語。
- L.R.セリーヌ『世界の果てへの旅』

最後の詩:
幕切れは決まって死である だが それまで生があった あれやこれやに隠されて すべては駄弁と雑音の下に埋没する 静けさと情緒 感動と怖れ 美しさの わずかで不規則なほとしばり それから理不尽なおぞましさと哀れな人間 すべては生きるという 困惑のもとに埋葬される かくかくしかじか 彼岸が存在するが 私は彼岸には関わらない こうして この小説ははじまる とどのつまり ただのトリックだ そう ただのトリックなのだ

現実の世界もただのフィクション(トリック)ってことかな。
ラグナロクの足音

ラグナロクの足音