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THE DEPTHSのTYのネタバレレビュー・内容・結末

THE DEPTHS(2010年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

木村に逃されたリュウが何万分の一位の確率でタイムリーにタクシーを拾うシーン、ラストのシャッターを切り損ねて今生の(?多分そうだと思うが)別れになるシーン、そして伝わったり伝わらなかったり誤配されたりのシーンは良かったけれども、全体としては粗さが目立つ。

冒頭、おじさん客が図らずも死んでしまったところで、木村さんが息してるか確認してるシーンで明らかにおじさんの腹が上下してて、ああ気絶してるだけか、木村さんタバコ吸って目覚めるまでの暇潰してるんだなと思ったら結婚式前のアレで、あ死んでたの?となった。
やたら目覚まし時計に目覚めさせられるシーンが多いが、韓国に向けて出発する複数の場面で、時計の時刻が時系列になってなかったりも気になる。
そしてなによりキレやすい韓国人男性二人の沸点が低い。ヤクザの方が余程落ち着いている。動物的なリュウの魅力は坊主にした辺りでわかり始めたが(ただ髪を切ろうと鋏を持つリュウの手には迷いの成分が多すぎたのでは?)、お前は弱いから受け止められないと、女と逃げた奥さんの写真を最初は伏せたのにベッドサイドに放ったらかしにしておく主人公の配慮の仕方に一貫性が無かったし、まあ全体的に人物造形が甘い気がした。詰まるところ脚本が良くない。

とはいえ、冒頭に書いたとおり現在の濱口監督と地続きで変わらない視点は既にあったし、やりたいことは変わらずやり方が上手くなったんだなちゃんと、と感じられて良い。

クレジット見てたら有香と逃げた女性が江口のりこで驚きとともに笑った。
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