湯っ子

THE DEPTHSの湯っ子のレビュー・感想・評価

THE DEPTHS(2010年製作の映画)
4.2
濱口版BLなのか、これは?

登場した時から、カメラマンのペファンがカッコいい…しかもめっちゃ優しくてまともでいい奴。おでんでいうと、ほどよく味がしみてるけど、中心は本来の甘さが感じられる大根(これは演技がダイコンっていう意味ではない)。
だけどある場面から、それまで脇役としてイイ感じの存在感だった花嫁逃げられ男ギルス、彼はおでんでいうと厚揚げって感じなんだけど、この厚揚げにめっちゃキュンとしてしまった。
そして、「風と木の詩」のジルベール並みに男たちを次々と虜にしてしまうリュウ。おでんでいうとうずら串かな?この子がまた良かった。最初はフツーのちんちくりんな男の子にしか見えなかったけど、写真になった時の魅力的なこと。そこからは、野良猫みたいな野生みとたよりない風情に引き込まれた。

物語は闇社会も絡んできて、ダークでハードボイルドな雰囲気。これまで観た濱口作品と比べて言葉は少ない。でも、韓国語、日本語、カタコトの英語が入り混じる会話は、やっぱり作風なんだろうなと思ったし、濱口作品で繰り返し語られる「暴力」がとても直接的で、意外とこういう世界と濱口作品は食い合わせが良いのかもしれないと思った。
乗り物表現も相変わらず良かった。ラストのタクシーのシーン。並走→枝分かれして走っていく、っていう画を見せられると、やっぱり無条件に心を掴まれる。

村上淳ってこんなおっかない役が似合うんだ、知らなかった。木村役の人は、お笑い芸人がコントでやるヤクザ(チンピラ?)って感じだったかな。
湯っ子

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