深獣九

劇場版 テレクラキャノンボール2013の深獣九のレビュー・感想・評価

3.5
※ノーカット版の感想です。
やってることは危険極まりないスレスレのことだし、正直意味不明なことも多い。けれどなぜかのめり込んでしまう熱い男たちのドキュメント。
彼らの6日間には到底及ばないが、私も2日間で600分を駆け抜けた。疲労とお尻の痛さが心地好い。

この作品はわかりやすく言えば、業界の裏側にスポットライトを当てた『ザ・ノンフィクション』。もちろんそれなりの場面も多いが、それ以上にプレーヤーである監督たちの企画に対する熱い思いがすごかった。画づくりのための交渉がどれほど過酷なものなのか、カメラワーク、インサート撮り、現場でのもうひと押しなどプロ魂を見せつけられた。『プロフェッショナル 仕事の流儀〜大人編』と言ってもよいだろう。
オープニングやエンディングもカッコいい。

特に素人女優の生活や人生があらわになるところなどは、本家に負けてないだろう。心が震えた。

だから600分という長さも苦にならなかった。単なる企画物だったら、途中でリタイアしていたに違いない。しっかり骨太の作品だからこそカルト的な人気があるのだし、何作も続いているのだろう。
まあ、ジャンルがジャンルだけに人を選ぶけど。

人間の原始的な欲望に直接働きかけるこの業界は、どうしても嫌な目で見られがちだし、実際問題も多いと思う。まさに玉石混交な世界。だが、精神面でも技術面でも間違いなく彼らはプロだし、体を張って人を楽しませよう感動してもらおうという思いは胸を打つものがある。
観てよかったと思う。人には勧めにくいが。

梁井一氏の引きの強さと頑張りに、思わず拳を握り応援してしまった。
ビーバップみのる氏の知識の広さには驚かされたし、それを駆使して口説くテクニックには感心した。ちょっぴり笑えたけど。
深獣九

深獣九