三体艦隊

劇場版 テレクラキャノンボール2013の三体艦隊のレビュー・感想・評価

4.5
エンターテイメントとしてシンプルに面白いだけではなく、さまざまな背景を持った女性たちとの交流が垣間みれて深みもあった。
はじめ、ナンパして即日セックスをする女性は何か「闇」を抱えているのではと偏見をもち、実際、厳しい現実を生きている方が多いように見受けたが、しかし、彼女らはカメラを向ける瞬間は幸福そうであった。「闇」などと言ってはいけない、これがナマの人生なのだ。
セックスとは言っても、美しくも、エロさもない、ぶつかり合いと表現した方がよいようなリアルさがあった。昨今の過剰に美しく、あまりにも現実と乖離したAVと対比して、より際立ったと思う。ダサいが、それでも良いものなのだと。
他の方も指摘している通り、価値観はホモソーシャルであり、男尊女卑やルッキズムが跋扈している。決して、現代的ではない。しかし、リベラルが全てに価値があるというよりかは、全てに価値がないということで平等化するような、価値観の砂漠化した世界においては、歪ではあっても今作品はオアシスを形作っている。「平等」という抽象的概念ではなく、「現実」を切り取っている。
作家たちが信じて発する表現であれば、どれだけ冒涜的で挑発的なものであっても、芸術として有用だと考える。

最後に、お守りとカンパニー松尾号泣のくだりが、本当に気持ち悪く、大きくマイナスとなった。情感で空気を醸成し、相手を半ば強制するというのは、日本の最悪の部分だと考えている。このくだりがリアルだとして、女優さんが本当は望んでいなかったら?断りきれない状況を、情感で作り出すのがこの界隈のやり口なのか?ここだけは、妙に浮いてみえた。
三体艦隊

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