Chico

カラスの飼育のChicoのレビュー・感想・評価

カラスの飼育(1975年製作の映画)
5.0
再鑑賞

首都マドリードの中心地の邸宅で暮らす9歳のアナは、母(ジェラルディン・チャップリン)を病気で亡くした三姉妹の真ん中っ子。母親の死が支配的な父親のせいだと思っていたアナは毒薬(だと思っている)"白い粉"を父親の飲み物に混ぜる。父はその夜突然死する。そして両親をなくした三姉妹は後見人となった叔母と共に邸宅で暮らすことになる。

亡くなった母の幻影を度々見るアナ。生前の優しい母はアナを抱きしめ、おやすみのキスをしてくれる。しかし同時に病に苦しむ母親の姿、家庭に閉じ込められた母のかぼそいシルエットが蘇り、幸せな思い出に黒い影のようにつきまとう。

言葉にできず内面化したアナの悲しみと、脆く危うい精神状態は幻想と現実、過去、現在、未来を交錯したユニークな演出で表現される。そして、窮屈さと退屈から脱出するための子供の想像力や、むき出しの感性と純真さで大人を観察する子供の視点をシュールに描く。
劇中に登場する70年代ファッションやインテリアは可愛くて、姉妹が仲良く戯れる姿にはほっこりさせられる。
ジャネットの「Porque te Vas(あなたが去ってしまうから)」に合わせてダンスする愛らしいシーンは本作のハイライトのひとつ✨

タイトル「カラスの飼育」とはスペインの格言「カラスを育てると目をほじくられる」から採られたもので、日本語のことわざ、「飼い犬に手をかまれる」に似た表現。

さて、愛らしい飼い犬"アナ"にかまれるのは一体誰か。


☝️主演のアナ・トレントの可愛さは言うまでもないけど、ジェラルディン・チャップリンは最も好きな女優さんの1人だし、自分の中のフェチな部分や好きな要素が詰め込まれた大好きな作品。
Chico

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