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カラスの飼育の一人旅のレビュー・感想・評価

カラスの飼育(1975年製作の映画)
4.0
第29回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ。
カルロス・サウラ監督作。

母を亡くした少女アナの心の機微を描いたドラマ。
時間軸が過去・現在・未来と交錯し、さらにアナが目撃する世界も現実と幻想に分かれ、その境界線も曖昧であることが本作の特徴の一つ。
自分もそうだったが、子どもは現実と空想の区別がはっきりとつかない。大人になると現実だけがリアルさを増していくが、本作では大人が忘れてしまった子ども目線の世界を意図的に作り上げている。子どもは現実を客観的に理解することができないから自分の主観と感覚だけを頼りに行動せざるを得ない。アナの残酷な行為は客観的に観れば子どもらしい勘違いによる行為であることに間違いないが、アナにとっては確信的で、結末としての現実(死)を理解していないがためにとった行為だった。

少女アナを演じたアナ・トレントは『ミツバチのささやき』の女の子。
卑怯なくらい可愛い。純粋で惹き込まれるような瞳が目撃した世界も純粋そのものだった。
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