アトミ

カラスの飼育のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

カラスの飼育(1975年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

60点

母そっくりの大人になった主人公アナの幼少時代のお話。

母が死んだのは父のせい。

夜中に父の寝室から声が聞こえる。
アナが様子を見に行くと女が寝室から慌てて飛び出し逃げていった。
寝室へ入ると父は死んでいた。
アナは寝室にあった牛乳の入ったコップをキッチンで洗う。
ん?ショックでおかしな行動してんのか?
いや、何やら証拠隠滅っぽい。
すると母が登場。アナの思い出なのか、幻影なのか、幽霊なのか。時折出てきます。

父の葬儀に「あの女」もいたがアナは誰にも言わず黙っていた。
ん?見知らぬ女をかばってるのか?

両親を無くした次女アナ、姉と妹の3人の面倒を見るべく、母の妹が引き取ることになり、車椅子生活で喋ることもできない祖母、家政婦を含む6人で暮らす事になる。

とりあえず口うるさい叔母。まぁ余裕がないというかそういった事でイライラを生んでしまってガミガミしてしまうタイプ。
根っから悪い人ではないようだが、アナは好きじゃない。
異物くらいのもんだろうね。
アナは母が死んでから相当に「ひねくれ」てしまったようで、かわいい顔して可愛げがない。かわいいからかわいいが。

アナがストレス発散的にいわゆる「歌謡曲」のレコードを大ボリュームでかける。
またこの曲がシンプルでいい。
頭から離れなくなるほど日本人好みな楽曲かもしれない。名曲。

とそれは置いといて
祖母は昔のアルバムを見て過ごすだけの日々。
アナはそんな祖母を見ていて「生きる意味はあるのか?」なんて事を考え、自殺を促す。
アナは母から教わった「毒(小さい子に触らせない為の注意喚起だろう)」を隠し持っていた。
実はそれは「毒」でも何でもなくて「重曹」。
そんなものを飲んでも人間は死なないが、「死ぬ」と信じてる。
その根拠が「父の死」だ。
あの「証拠隠滅牛乳」に「毒」を混ぜたのはアナだった。
道理で淡々と慣れた手つきでコップを片したわけだ。
「あの女」の事を黙ってたのも「自分が犯人」と自覚していたから。
なんつうガキだよ。
でも「死ぬと信じてる」てのが「ガキのかわいいとこ」だね。

で、今度は邪魔な叔母に「牛乳」を飲ませてしまう。

アナは爽やかな朝を迎える。
邪魔者は消えたからね。
なんなら学校休んじゃおっかなー。なんて。
しかし当然叔母は死んでなくて皆を起こしにやって来る。
「え?何で?」てなキョトン顔アナ。

またいつもの日常が始まる。



PS
「カラスの飼育」とはスペインの諺「カラスを育てて、目玉をくりぬかれる」をシンプルにしたもので、わかりやすく言えば「恩仇」。
アナをカラスとしていいのかな。
てかそもそも「産む、育てる=恩」と考えている方が思い上がりだね。
「育て方が悪い」となれば「カラス」に言及する事でもない。
つまり「カラスの性質の問題」だろ。
という事は「ガキとは皆こういうもの」というメッセージになるか?
てか「思い通りにはいかない」という意味合いだとアナから見た「世の中=カラス」という解釈も可能かな。こっちだろ。


PPS
三姉妹でお風呂場にいて1番下の妹を叔母が湯船に入れると「熱い!熱い!」とびっくりするその様を見てアナ達が爆笑するというシーンがある。
めっちゃ自然な笑い声にあれは演技じゃないのがわかるいいシーンではあるが、肌が真っ赤っかになって泣いてる妹はめっちゃ可哀想。
大人の遊びの犠牲になってる子供(虐待)の図。
こういうのを観ると彼女の前作もそうだった(メッセージの為に大人が子供をおもちゃ化)が監督の人間性を問う。
やはりメッセージは地に落ちる。
「思い通りにはいかない」というメッセージを込めたタイトルにしておき、子供達を監督の「思い通りに操る」。
そしてそれを世間は「名作だ!」と歓喜する。と。

まぁテーマ曲がいいから60点で。
アトミ

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