MiYA

十手舞のMiYAのレビュー・感想・評価

十手舞(1986年製作の映画)
3.5
盗賊の女が影十手となって幕府に手先として法で裁けない悪を討つ。面白い設定じゃないですか。美しいヒロインが男に復讐する「緋牡丹博徒」や「修羅雪姫」のオマージュのような気がします。特筆すべきは、石原真理子のビジュアルの素晴しさ。芝居も悪くないですよ。リボンを武器に戦うというおかしな設定も、ビジュアル的には面白いです。

ただ残念なのは、敵役の夏木マリが存在感を出し過ぎて、石原真理子が中盤で消えちゃうとこなのだな。「虐げられた女の復讐」という話型からすれば、父親の仇でもあるこの敵役は男だったほうが絶対良かったとように思います(もちろん最期に大物が登場して彼女の復讐が完遂するという流れはあるのですが)。あの妙なダンスといい、夏木マリのクセが強すぎる。あと、世良正則の立ち位置の中途半端さももったいないな。

なんか色々惜しい。「修羅雪姫」のような、女ノワール時代劇(?)の傑作にもうちょっとでなったのになぁ。

BS松竹東急「よる8銀座シネマ」にて。
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