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誘拐の掟の東京キネマのレビュー・感想・評価

誘拐の掟(2014年製作の映画)
4.5
いや~とても面白い映画でした。キッチリしたメソッド映画というか、今時 “ハードボイルドだぜ~い!” ですよ。もうこれだけで素敵です。この張り詰めた雰囲気、映像の隅々までピンと張った緊張感。それにユーモアもあるし・・・。いいよねえ、こういうフィリップ・マーロウの世界。探偵小説映画の見本のようです。

原作はローレンス・ブロックの探偵小説『獣たちの墓』。アラカンの本物のハードボイルドです。監督は長年の念願叶っての初監督作品となったシナリオ・ライターのスコット・フランク。こちらもアラカンです。そうなんだよねえ、こういう映画ってこの年齢にならないと撮れないんですよ。今までやりたかったことを全部詰め込んで、どんなもんだい?って楽しみながら作っている感じです。

こういう筋って良くあるよねえ、という意見も散見されますが、こういった映画はある意味お話なんかはどうでも良いんですよ。マキノ雅弘風に言えば、1スジ無しの2ヌケ、3ドウサで魅せる映画でね。主人公のプリンシプルと風景があればそれで良いんです。あとは、今時風に犯人の猟奇的変態描写とエンディングの締め方ですね。具体的に説明しませんけど、両方とも素晴らしいですよ。特にエンディングは「痛いエンディング映画ベスト10」があれば確実に入賞するレベル。考えるだけでとんでもなく痛いです。まあ、騙されたと思って一度見てくださいな。
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