コマミー

奪還者のコマミーのレビュー・感想・評価

奪還者(2014年製作の映画)
3.7
【車を追う理由】


[気まぐれ映画レビューNo.174]


最近、Twitterで話題になっている"A24"の配給・製作作品が載っているビンゴゲーム「A24ビンゴ」の作品のラインナップの中に、ふとこの「奪還者」が載っていたので久々に観てみることにした。

…こんなに結末が"切ない映画"だったとは…今に今までこの作品の事をすっかり忘れていたのだが、この展開に持っていける"デヴィッド・ミショッド"監督は流石だなと感じた。
ミショッド監督は後にNetflixでブラピ率いるプランBと共に「ウォー・マシーン」や「キング」を手がける方なのだが、彼は「アニマル・キングダム」と言う名作を生み出している。
人間の"ダークな一面を硬派に描く"監督であり、脚本家として携わった「メタルヘッド」も大好きだ。

そして本作。"オーストラリア"映画お得意の砂漠をうまく使ったロードムービー的クライム・アクションで、経済の崩壊で且つ"強盗団の襲撃"で"全てを失った男"が唯一の財産的存在である車を取り返す為、訳あって一味に置き去りにされた"強盗団の一員の1人の青年"と共にアジトを目指し旅をすると言う物語だ。
砂漠の砂に塗れた"ガイ・ピアース"と"ロバート・パティンソン"にまずみんなが痺れる事だろう。2人は普段は当時はそんな"荒くれ者"の役を中々演じる事はない為、新鮮に感じる。

そして本作で1番衝撃を受けるのはラストだろう。全てを奪われた男が周到に車を追い続ける"真の理由"が明らかになった時、まさに"鬼の目にも涙的"な男の一面が見受けられ、ちょっと泣きそうになった自分がいた。この展開に持っていけるなんて、ミショッド監督は粋だなと感じた。

決して目立ったアクションをする訳ではないが、主人公"エリック"のシリアスな面と切ない一面が最初とラストで切り替わる所が何とも見応えもあるなと感じた作品だった。そして一味に置き去りにされた"レイ"と言う青年のとことんまで"可哀想な部分"がラストまで続いており、終始観るのが辛かったが、エリックと段々打ち解けてく所はハードボイルド的でとても良かった。

見せ方がとても上手い映画である事は確かだと感じた。
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