てつこてつ

陰獣のてつこてつのレビュー・感想・評価

陰獣(2008年製作の映画)
3.5
江戸川乱歩の傑作推理小説のフランス映画版。
主演には「ピアニスト」「クリムゾン・リバー2」のブノワ・マジメル。

これまでにも日本で映画化、2時間ドラマ化されているこの作品、実は自分はいずれも観たこともないし、原作も読んでいない。

よって、このフランス版がどこまで原作から設定を変えているのかは知る由もないが、結論から言えば、酷評が多い中、個人的には、とても面白い作品であった。

舞台となる京都の祇園、お茶屋の描写、芸妓の所作などなど、それほど
日本人から見て違和感を感じなかったのは、おそらく、フランス人が、
外国人の中でも、最も日本文化を理解しようとしている、もしくはジャポネスクよろしく憧憬を抱いている民族なのかもしれない。

要となる芸妓を演じた源利華なる女優は、初めて見るが、素晴らしい存在感。いかにも外国人男性が恋に落ちてしまいそうな「日本女性」の風貌を持っている。ブノワ・マジメルも、この女性に翻弄される作家という役どころを上手く演じている。

正直、この話の犯人は、何となく分かってしまうと思う。

だけど、独特の作品全体から匂い立つようなエロティシズムは、フランス映画ならではのもので、なかなかの良作だと思う。
てつこてつ

てつこてつ