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ゼロの未来のNekiのレビュー・感想・評価

ゼロの未来(2013年製作の映画)
3.0
「存在意義」についてだいぶ考え込んでいる主人公だけど、全てが無に帰してしまうなら何のために生きるのか、そもそも自分は、「私」とは一体だれか。SFって「if」の世界を描くことでむしろ対比として現代を振り返ることができるから、そういうこと考えるには良いジャンルの映画なのかも。

「Calling」は日本語にすると電話かもしれないけど、英語ではクリスチャンが受ける啓示、神が自分を呼んでいると感じた体験のことも表す。「Calling」を受けてクリスチャンになったり、神に自分を捧げる決意をしたり、とにかくそういう特別な体験のことになる。主人公はずっとそれを待っているから、つまり宗教的な救いをずっと待っていたのかもしれない。教会に住んでるし。

でも、冒頭からこの映画は嘘くさい儲け話と嘘くさい教会の広告が映し出される。広告が出ている以上ある程度社会からの需要があってのことだと思うけど、この世界では人生薄暗い金か薄っぺらい神しかないのかと思わせる。個人の存在全てが道具となってしまう悪趣味なディストピアの中では、残念ながら神も役に立たないみたい。

がらくたの寄せ集め感がなんとも気持ちが悪く、終始画面がガチャガチャしていて酔う。調べてみたらどうやらそれがコンセプトだったらしい。ネットのインタビューを見ると情報化社会である現代のエネルギーやノイズ、秋葉原を初めて見た時の衝撃を表しているとか。なるほど。
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