湯っ子

ブラインド・マッサージの湯っ子のレビュー・感想・評価

ブラインド・マッサージ(2014年製作の映画)
4.2
途中何回か、声にならない悲鳴をあげた。開いた口が塞がらない状態はトータルで15分くらいあったと思う(体感)。
南京。視覚障害の若者たちが集団生活をしながら勤めるマッサージ院での群像劇。
見えない人同士では、視線のぶつかり合いや逸らしあいがないから、直接身体をぶつけ合う。泣く時は声を上げて泣く、涙を流すだけでは見えない者同士には通じないから。
若者たちが共に暮らせば、そこには自然と友情も恋も芽生える。そんなところは健常者と何ら変わりがない。
いつも何か思い詰めたような表情の小馬が笑顔になると、なぜか心が震える。
映画の中では雨の日が多い、それも土砂降りだったりする。雨の中のマッサージ院や小馬が恋した女のいる風俗店。何か雨が外の世界との結界みたいにも感じる。ナレーションでも、見えない彼らの世界と見える人々の世界は別にあると語られる。
終盤には小雪が散る。小馬は愛を手に入れ、光を得たように思われる、なのに彼は目を閉じる、そして笑うのだ。
湯っ子

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