ジュリアン

6才のボクが、大人になるまで。のジュリアンのレビュー・感想・評価

5.0
共同親権がしっかりした描写やグリーンデイを聴いていそうな実親、ハンドバッグでゲイ認定に思わずアメリカを感じ取ってしまったが、それ以上に映画では少年の成長よりもバツ3の母親が3度も有害な男らしさをまとった旦那によって家族関係が毀損されていることに胸を打った。

家族が他者性を曖昧にさせてしまうからこそ生じる暴力や社会・経済的に誰かに依存せざるを得ない母、ダブルバインドによって傷つく子供など、家族の救いのなさが克明に描かれているが、それでもなお善く向き合うように努力する様が良かった。加えて、時の流れが解決してくれてたりと。

あと、リアルなのが子供は親に依存しているうちは親子関係が焦点化しがちだが、自立すると自分の人生を歩んでいく様が画面における家族の希薄化と伴っていたり、逆に親も依存的な人生だったと捉え直してしまう描写がリアル〜となった。こういったのは3年前に大学卒業して社会人になったばっかなのでまだ自分にも確かな記憶がある。

他方で、基本面白かったんだが、現実には母親がアル中だったり、ヒステリックだったり映画ほどスパッと分けられはしないので若干の地母神信仰っぽいクラシックな母親像に物足りなさを感じた。良妻賢母すぎるんよな。

そういえば、メイソンが16歳の誕生日にGTOを貰えなかった話で自分も似たような約束を離婚した父と交わしたことを思い出してしまった。駐車場契約したらやると言われたベンツ・カブリオレが今もあるのかどうなのか。僕も確かめる必要がありそう