Genichiro

6才のボクが、大人になるまで。のGenichiroのレビュー・感想・評価

4.4
二人目、三人目の父親それぞれ昔の嫌な記憶を思い出す部分があってなかなか見進めるのがつらかった。自分にはイーサン・ホークのような父親はいなかった、それだけは悲しい(実際あんなのいたらめんどいし大変なこともいろいろあるだろうけど)。撮影開始が2002年ってすごいよなー。リンクレイターはドキュメンタリックに撮ることで真実味を加えようとしているのではなく、フィクションとしての映画の強度を信じているからこそ色んな形で虚構性に対して挑戦状を叩きつけているのではないかと感じる。序盤、ドラゴンボール見てたね。「パパは仕事してるの?」というストレートすぎる質問にウケた。「私の夢はオバマにキスすること」笑った。親から避妊の話されるのとか最悪、と思いつつでは誰がそういう話をすればいいのかと考えてしまう。サクサク話が進んでいく、そしたらカットが変わって突然登場人物たちが成長している。会話から何かしらの出来事が既に始まっていたり、事態が既に進行していることを観客は事後的に知らされる。今作そのものが映画というメディアへのメタ的な言及となっている。「もっと長いかと思ってた」あの言葉は母親の感傷であり悲痛な叫びであり…そしてあの美しいラスト。今作は美しくも残酷に過ぎゆく(しかしながら紛れもなく一定の速度で直線的に進む)時間を永遠に閉じ込めた。「一瞬は私たちを逃がさない」「一瞬とは…常に今ある時間のことだ」
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