ねこねここねこ

おもちゃ 虐げられる女たちのねこねここねこのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

2009年に女優のチャン・ジャヨンが事務所社長に大広告主や色んな権力者に性的接待を強要され、メンタルを病んで自殺した事件を元に描かれている。

まず、マ・ドンソクが出てるから観たわけだけど、細い!腕なんか今の半分くらい?
いや、逆に今あの腕の筋肉なら普通の服は入らないんじゃなかろうか?え?じゃあ洋服は特注?とか余計なことに頭がいってしまうけど。
そしてマ・ドンソクだけど、ほぼ格闘シーンなし。むしろ一発殴られたのみ。

新聞社をクビになって自分でニュース配信をしているイ記者。
彼の元に自殺した女優からある書類が届く。そこから韓国芸能界の深い闇へと話が発展して行く。
アクションやCGなどの派手さはないけど、そして終始胸が悪くて、観終わってもモヤモヤと消化不良だけど、なんというか観て良かったかな。爽快感とは程遠いけど。

普段から私達もなんとなく、芸能界ってそういう部分はあるというか、結構多いんだろうなと思ってはいても、見て見ぬふりというか、そんなことが頭の中を掠めると色んな俳優さんや女優さんを普通に見られないというか。でもやっぱりそういうことよね、あるんだよねって思ってしまった。

主役級の看板女優だけ大事にして、その他はその女優が何かを得るためにバーターで性的に差し出されて犠牲になっていたり。
途中でヒロインが「いつまでダリョンさんを支えないといけないんですか!」って叫ぶのもわかるよ。

途中インタビューに答えてる以前その事務所にいた女優の告白もすごく納得&衝撃。
どんなに才能があっても、半年も何も仕事を与えられないと、「どんな仕事でもやります」ってなってしまう。
ちょっとした接待で嫌なことを少し我慢すれば、ちょっとした仕事がもらえる。それが罠。どんどん事務所からの要求はエスカレート。辞めようとすると契約書をタテに莫大な違約金を請求される。
あぁ、なるほどな、そんなふうに追い込まれるんだな。
最後は死という逃亡方法しか思いつかないほど。

そうして、結局どんなに世論が騒いでも権力者達はその権力をとんでもない方向に使って裁判の行方さえも自分の思うまま。
いや、ちょっと待ってよ。裁判長は最初おどおどした女検事を微笑ましく見てなかった?あれはこの女検事の父親が最高裁判官だからなの?最後は明らかに買収されて敵でしかないし、性犯罪者やそれを幇助した奴等がほぼ野放し。これでいいの?

もうね、確かに実話を元にしたら、こんな結果なんだろうし、今もこんなことが続いているのでしょう。でもそこは映画なんだから、もう少しスッキリできるエンディングでも良かったのでは?と思ったり、内容が内容なのでクラウドファンディングで出資されてようやく制作されたので、やはりラストもリアルにすべきか?など自分の中でも葛藤が生じる。

やり甲斐や希望を権力者が性的搾取し、弱いものは泣き寝入りするしかない芸能界の闇の一部。

日本だって今故ジャニー喜多川による未成年者(未成年者だけじゃなさそうだけど)への性加害事件。
もうずーっと昔から言われて来てたし、初耳でビックリという人なんてほとんどいないんじゃないだろうか?
ジャニーさんは確かにスターを発掘して世に送り出すすごい才能があったと思う。でもだから何しても許されるわけでもないし、姪のジュリー社長が「知りませんでした」で済むわけもないし、都合よく「憔悴して体調不良」で退任して逃げていいはずもない。
そしてマスゴミ!
初めて吾郎ちゃんの事件の時「稲垣メンバー」とかいう報道を聞いて仰天したよ。いやいや容疑者だよね?何その報道の仕方。唖然としちゃうよ。
近くは池袋で暴走して母子を轢き殺してしまったのに最後まで車のせいにしてた「飯塚元院長」普通に飯塚容疑者で良くない?逆にずっと覚えてるわ。
あの事件も警察もマスゴミも加害者に忖度しまくり。

あー、なんか書いてるとイライラ💢っとして来るけど、まぁ権力者ってあからさまに滑稽なまでのことをして来る。
聞かされてる方は誰一人納得もしてないんだけど、どうしようもない。何もできない。そんなことが芸能界にも日常茶飯事で、韓国も日本も闇が深いなと感じた作品。