デニロ

K2 初登頂の真実のデニロのレビュー・感想・評価

K2 初登頂の真実(2012年製作の映画)
2.0
試写会なんて何十年振りだろう。そんなに混んではいないんじゃないかと思ったけど550席7割以上は埋まっていたかな。応募した動機は予告篇。それに登山大好き。何といってもK2ですから。

予告篇で、K2初登頂には登頂アタックを巡って隊員同士の妨害工作があり裁判云々といった件に興味を覚えたから。日本の登山家にも海外遠征でアタック隊に選ばれず山を下りてしまった人物がいて、それはそれで気持ちはよくわかったものでした。でもね。団体行動なんだし、選ばれない可能性の説明をきちんとリーダーから受けているはず、であると思うんだが。そんな感想を持ったものでした。しかし、この作品ではリーダーはちゃんと説明してはいないし、かなりの暴君だ。暴君じゃなければ、誰にも成し遂げられていない登攀を達成することはできなかった、という現代では通用しない論理をテーマにしているわけではないけど。かの日本隊も同様だったんだろうな。

登山映画としてはかなり軟弱な撮影ではなかったろうか。緊張感を感じない。暴君の意のままに登攀させられているにも拘らず、この撮影隊の描いている映像は登攀自体の臨場感を感じない。勿体ない。沢木耕太郎が文字で描写したノンフィクション『凍』は臨場感たっぷりなのに。ある程度山を経験している人のこの映画に対する評価は低いだろうな。文字に負けている。

オマケの様に描かれた登攀メンバーとその婚約者の別離に至っては、いらない。これがなければ100分位の映画になったのに。

50年も裁判で闘っていた、と最後に字幕で出たけれど余韻というものを感じないラストシーンと結びつかない。

もはやわたしにはアタック隊は無理だけど、この程度の暴君にはなれます。(きっぱり)
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