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闇の中の音楽のRIOのレビュー・感想・評価

闇の中の音楽(1948年製作の映画)
3.8
*闇の中の音楽*などというタイトルだから救いようがないのかと思って観たらとても救われる映画でした

イングリッドの二重の瞳が輝き唇がプルッと綺麗で好感度
大人しそうに見えて実はお転婆娘から芯の強い女性に変化するのを見ていて
また心の汚れがとれる感じです

パピーを助ける為に光を失ってしまったベングトは終始ピリついてるけど優しさが見え隠れする

友達と一緒に行った駅でハグれてしまって列車と線路の間で路頭に迷うシーンでのモノクロームの衝撃
階段の手摺の向こうとこちら側に座る2人の離れてるようでとても親密な距離に参った

ベングトの目が見えないという障害がお互い距離を保ってしまう繊細さ
イングリッドが精神的に彼を尊敬して追いかけて努力してる
相手を何よりも大事に考える純粋さがとても健やかだった
普通の恋愛モノとして見てしまえばハッピーエンドで終わってしまうけど
それこそ闇の中で逢った2人は目で見えるものではなくて実存のような事柄を見てたんではないかな
これからも起こるであろう不条理
自ら作っていく運命という力強さもあった
60年代「神の沈黙」3部作の後に続けて1948年「闇の中の音楽」も観てからやっと気づく実存主義の影響

ベングトの弾くオルガンに安らかな表情を見せるイングリッド
色も光もない記憶の音色からベートーヴェンの「月光」が包む女神像のフォルム
深く傷つく激しい音楽表現

ダンスパーティーの夜
ひな菊の花を髪に飾り貴方に見て欲しかったと窓越しに現れるイングリッドはきっと天使



余談ですが盲目のオルガニストのヘルムート・バルヒャが「フーガ ト短調 BWV 578」バッハの演奏したのを初めて聴いてダーンッ☆となったそれ以来とても好きな演奏家
他にもたくさんの名演奏があります
更に余談ですがこちらはVHSで観たのですが目に優しい気がした
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