ひろぽん

ハッピーエンドが書けるまでのひろぽんのレビュー・感想・評価

3.3
妻に去られ愛を見失った小説家ビルと、そんな両親の離婚を見て愛を信じなくなった娘のサマンサ、内気で臆病な息子のラスティの3人がそれぞれ悩みを抱え、前を向いて歩んでいく家族の絆と愛の再生物語。


妻が出ていき3年も経つのにずっと未練があるビル、傷つくことを恐れて恋愛ができないサマンサ、初恋の女の子になかなかアプローチできない奥手なラスティ。

そんな彼らのありふれた日常を感謝祭から翌年の感謝祭までの1年間を描いたヒューマンドラマ。

ドラッグに葉っぱ、酒にセックスと未成年なのにやりたい放題の登場人物たち🌿
何かに頼らずにはいられない人間の弱い部分を描いている点がいい。

作家をテーマにした作品だから終始詩のような言葉の表現やオシャレな言い回しが出てくるところが非日常的でロマンチック!

ワクワクする楽しいことはもちろん、失恋などのネガティブな感情でさえ力に変えて文学という物語に落とし込めるのが、作家という枠にとらわれない職業の魅力的な部分なんだと気付かされた!

ビルの言うように俺にもみんなの鼓動が聞こえてくる気がしてくる。

父親のこと何だかんだ言いながらも、子どもたちは父親の背中を見て育ち、同じ職業を選んで成功させていくのだからとても良い家族なんだろうな。3人とも家族だからなのか、覗きなどをするストーカー気質なのが本当に面白い。

エリオットスミスの『between the bars』を車の中で聴きながら浸るサマンサとルイスのシーンが最高に良い。

日常の一部を切り取ったような作品だから大きなインパクトがなく盛り上がりには欠けるが、心が落ち着くような温かさがあってホッコリする。傷つきたくないから恋愛に臆病になるサマンサの気持ちはよく分かる気がする。

可愛すぎるリリー・コリンズに癒される作品。有名な作家のスティーブン・キングが本人役として少しだけ登場するシーンは見どころ。色々な小説のタイトルの名前が登場するから知ってたら面白いのかもしれない。


“人には2種類ある。
ロマンチストとリアリスト。
リアリストは意中の中の人をいい女の1人として見る、ロマンチストはその人が神が選んだ1人だと信じる。”
ひろぽん

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