ダイナ

パディントンのダイナのレビュー・感想・評価

パディントン(2014年製作の映画)
4.0
被災し住処を失った熊が一族の恩人である人間を訪ねにロンドンへ繰り出すアットホームコメディ。ロンドンの街並みの華やかさやピタゴラチックでアンティークな様々な装置のワクワク感もさることながら、喋る熊が街中で歩いていようと「珍しい」ぐらいのリアクションな人間達という、実写なれどCG熊の存在以外も微妙にリアリティの域からずれたファンタジーな世界観。

恩人探す過程でお世話になるブラウン一家とのふれあいのあったかさに溶かされそうになるわけですが、その中でも注目すべき奴が1人。慈愛に満ちた優しいママさんとツンデレな娘ちゃんとワンパクな息子くんも良いキャラなんですが、中でもパディントンと双璧をなす存在感だったと勝手に印象付けられたのは一家の親父ヘンリー。こいつ1人で優しさもツンもデレもワンパクも備えてやがるっつーMr.万能。ストーリーをピシッとシリアスに引き締め、わだかまりが解けた時の朗らかさを提供し、コメディリリーフとしても有能という。「熊泊めたら子供達危ないかもでしょ…」と、前述した熊が珍しいね程度の世界観の中で比較的まともな思考(一家の大黒柱だからという点もある)を持つ堅物なわけで、周囲からわからずや!と突かれるわけですが。そんな親父と周りの家族がパディントンが来てから変化していく様子が魅力でしたね。

個人的には家族関係の変化に目が行きがちだったので、上記の書き方だとパディントンがただの舞台装置のように思われてしまいますがそんなことはもちろんありません。なんといっても「かわいい」だけでお釣りがきます。パディントンが初めて見る触るものに興味津々なのがかわいいし、戸惑う所のそれ違う違う!と思わされる感じはもうはじめてのおつかいみてるような気分。野生の頃とのギャップギャグや彼がもたらす「はちゃめちゃ大騒動」は本作の映像としての見どころです。

そして大掛かりなトリックという事ではないですが、中盤まで散りばめられた小さな要素が後半にサクサク回収されていいき展開の推進力となる、小さいカタルシスの連続も観ていて心地良いです。子供が観ても楽しめるし、家族をどう束ねるか、子供・子熊をどう導いていくかという大人の立場からの目線にも寄り添っていて、老若男女楽しめる作品。バファリン以上に優しさ割合が高いファミリーミーツアニマルムービー。油断してると泣かされる。
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