このレビューはネタバレを含みます
ジョゼ・サラマーゴの小説『The Double』をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化した作品。俳優と大学教授という二役をジェイク・ギレンホールが演じている。
これはよかった。さすがヴィルヌーヴ。静謐で美しい映像で紡がれる極上のサスペンス。
映画の中に自分を見つけるシーンが大好き。驚いているのは大学教授のアダムのはずなのに画面の中の男もこちらを見ているよう。
時系列をいじって蜘蛛という象徴を入れることでわざと混乱させようとしている。
SFでも不条理劇でもなくこれはなりたかった自分と過ちを繰り返してしまう自分という一人の男の心を描いた心理劇。
ヴィルヌーヴの冴えわたった映像センスが素晴らしい。大いに楽しめた一作だった。