ぼるびっと

複製された男のぼるびっとのレビュー・感想・評価

複製された男(2013年製作の映画)
3.5
終始妙に緊張感や不安を煽るじめついた音楽の流れる中、淡々とある二人の男の話が紡がれていく様は不気味の一言。
ある教師が、同僚との話題にあがった映画を何の気なしに借りてみると、そこには自分に瓜二つな男が写っていた。あまりに生き写しな男の存在に不安と恐怖と、それ以上の好奇心を抱いた教師は、彼をさがしだすのだが…


序盤から中盤のあらすじはこんな感じで、曇り空のように鬱々とした不安を潜ませた世界観の中、二人のそっくりさんが対峙し、それによって起こる内面の変化や、彼らの妻、恋人への影響もゆっくりと、重苦しい雲がなかなか晴れないように、のろのろと描写されていき、観ている側は、次のような疑問を抱かされて不思議と目が離せません。
①何故二人はあまりにもにすぎているのか(顔形や声だけではないある部分までそっくりな点に含みあり)
②一番最初の妙な描写は、二人が似ている事に何か関係があるのか
③どういう結末になるのか

そして、ラストのワンシーン、あまりに大胆かつ唐突な終わりかたを目にして、口をあんぐりさせ、主演のジレンホールさんの溜め息まじりの絶妙な表情が頭に残るわけですが…

私は察しがかなり悪いので、このラストの意味するところと、上記の疑問点が解けない為、観たあとにすぐ考察サイトに駆け込もうとしました(笑)
マグノリアの、圧巻のラストシーンを観た時のようなポカン感です。

雰囲気や、各所に散りばめられた意味深な演出(雲、ブルーベリーなど)がなかなか不穏なので、一筋縄ではいかない映画がお好きな方、ドニーダーコ並みに不可解な世界でじわりと不安にさせてくれる演技が上手いジレンホールさんを堪能したい方は一見の価値ありです。