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喰女 クイメのkanacoのレビュー・感想・評価

喰女 クイメ(2014年製作の映画)
3.0
『日本三大怪談』の一つ『四谷怪談』を舞台化する中で、伊右衛門とお岩を演じた恋人同士の俳優が徐々に『四谷怪談』と同調し恐ろしい行動を起こす。舞台と現実が混ざり合う狂気のサスペンスホラー。人間の重い感情からくる息苦しさ・不穏さがずっと漂い、視覚的な痛みもある。怪異だけど人怖寄りかも🤔(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
舞台「真四谷怪談」でお岩役を演じるスター女優の美雪。伊右衛門役は美雪の口添えで彼女の恋人である浩介が抜擢された。しかし浩介は酷い浮気癖をもっており、美雪の付き人や新人女優に手をつけていく。浩介の浮気に気がつき恨みながらも耐える美雪のその情念は、いつしか「真四谷怪談」の“伊右衛門に裏切られたお岩の情念”と重なっていく。やがて舞台と現実の境は混じり合い、美雪は狂気の世界へと足を踏み入れていく…。

❶舞台『四谷怪談』と現実が混ざり合う狂気のサスペンスホラー

鶴屋南北の歌舞伎などで有名な『四谷怪談』。夫“伊右衛門”から酷い裏切りと仕打ちを受けた後殺された妻“お岩”が怨霊となり、夫へ復讐を遂げるという古典怪談。これを舞台化するため“伊右衛門” と“お岩さん”役に抜擢された、恋人同士である男優(市川海老蔵)と女優(柴咲コウ)が怪談の登場人物と徐々に同調していき、狂気的な恐ろしい結末を迎えるというサスペンスホラーだった。

❷『日本三大怪談』のうち最も有名と思われる『四谷怪談』

私は小さい頃からオカルトが大好きで、今でも怖かったり不思議だったりする話や、怪奇・民話伝説・神話・都市伝説・非科学的な話などを読んだり聞いたりすることが好きだが、思えば、『日本三大怪談』など古典怪談にちゃんとふれたことがなかったかも。さすがにタイトルはしっているけど…。『四谷怪談』がお岩さんの「うらめしや~」で『番町皿屋敷』がお菊さんの「一枚…二枚…」で、『牡丹燈籠』が…🤔❓なんかチャイニーズゴーストストーリーみたいな話だったような…?

本作は、そんな『日本三大怪談』のうちでも最も有名と思われる『四谷怪談』のストーリーを劇中劇で知ることができて興味深かった。後にネットで調べたら、お岩さんと伊右衛門の結婚までのストーリーやお岩さんの有名な「顔」に到るまでの経緯はバリエーションがかなり豊富みたいなので、本作が原点や有名なバージョンと同じかは分からないのだが、「不貞を働く夫を恨み怨霊となった妻」という構図はだいたい皆同じそう🤔

❸人間の重い感情からくる息苦しさ・不穏さと痛み…怪異だけど人怖寄りかも

本作は、舞台「新四谷怪談」(お岩/伊右衛門)パートとそれを演じている現実(美雪/浩介)のパートがだんだんと織り交ざりながら物語が進行していくスタイル。「超常現象の怖さ」と「人間の怖さ」の両方の側面を持っているが、「怨霊」も「妻の呪い」のような感じなので、どちらかというと人怖の方へ比重は傾いているのかも。超常現象のギミック自体はちょっとチープでコミカルだし…。

人間の重い感情からくる息苦しさ・不穏さはずっと漂っているためシリアスで鬱々としている。雰囲気はずっと「どよん」としているし、監督が得意とする「痛い」シーンもあり。

ただ、伊右衛門/浩介が本当に嫌な奴なので「よし!殺ろう!」とお岩/美雪を応援する気持ちになるため、誰もが予期する結末には誰も同情はしないかも…。というか、もっとやっても良かったのよ?🤭

私個人は「劇中劇と現実が混ざり合う」話であれば、時間軸がもっと表裏一体になっている方が好きかな。ここは好みだろうか。

もう一つ難点は伊右衛門/浩介役のセリフが「モゴモゴ」「ボソボソ」で聞き取りにくくイライラさせられたこと。キャラクターの性格上、仕方ないのかもしれないが…。

✨🐝「あまり評価が高くない作品であり特に反論もないですが、舞台と舞台裏が同時に進行しつつ境が曖昧になりだんだん狂気が増していく雰囲気は良い感じだったと思います。それに『日本三大怪談』に興味が湧いてきました😄あと、柴咲コウさんはTVだとホラーイメージはないのに、映画だと着信アリや案山子など、けっこうJホラーに出演されているのですね~。ちょっと低めのテンションが合うのですかね~?」
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