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柘榴坂の仇討のbluemercenaryのレビュー・感想・評価

柘榴坂の仇討(2014年製作の映画)
3.9
浅田次郎の短編を映像化。
「そりゃ泣かされる設定でしょ(笑)」と思いきや、ちょっと違った展開。
残る一人、佐橋十兵衛を探して13年の歳月が流れ時代は明治に。
そしてその歳月は時代と共に“侍”を消滅させていた。
志村の胸には、残り一人を見つけられない焦燥感と喪失感が。
一方の佐橋もやってしまったことに対する罪悪感と、一人生き残ってしまったジレンマを抱えて生きていた。
どちらも痛く切ない。


結構混雑していた劇場内の平均年齢は恐ろしく高かった。
普段映画を観ないTV時代劇ファンが足を運んだ趣があった。
そういうファンを十二分に楽しませた正統派時代劇だったと思う。
時代の変化に順応出来ず、心に重荷を背負った二人の心の逡巡と、対決後に訪れる邂逅。
そんな過程を、良い意味でもどかしく丁寧に描かれていたと思う。

未来に光射すエンディング。
二人に、二人を取り囲む人々にちょっと遅れて心の維新がやってきた。
地味だけど真向から真摯に人間を描いた秀作です。

ドラマの根底に流れるテーマは「るろ剣」と一緒でしょ。
“侍”は難儀でござるよ。
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