再見。傑作すぎてビビる。ブノワ・マジメルが隠匿する石像を何度も取り出すことが象徴するように奇妙な存在感を放つ背景の人物(ローラ・スメットもその一員)が停止から始動するまでの映画。レストランの従業員の異様な停止の映り込みとデスクの刑事の尾行の開始。停止と始動の関係は死体とカメラワークにも。
最上階の扉を開ける前からオフスクリーンで響く安楽椅子のギシギシ音。恋人とタンゴを踊る継母と違い、ひとりで調子外れのリズムを刻むローラ・スメットは真実を告白してもブノワ・マジメルとズレざるを得ない。しかしそのズレ故に真摯な愛の証明になってしまう。この倒錯!