つるみん

KANO 1931海の向こうの甲子園のつるみんのレビュー・感想・評価

KANO 1931海の向こうの甲子園(2014年製作の映画)
4.0
【民族の違いなんて関係ない。この子たちは皆、野球の大好きな球児です。】

3900本レビューはこの作品。

日本統治時代の台湾。これまで1度も勝った事のなかった弱小チームが、台湾代表として甲子園に出場し、輝かしい成績を残すまでを描いた実話。

良作。
僕は映画と同じくらい野球が大好きだが、このストーリー自体、初めて知った。違う民族同士が1つの目標に向かって、頑張り、励まし合う。そして「奇跡」が起きるというこんな素敵なスポーツは他にない。

ご存知の通り、日台友好という言葉をよく耳にするほど、仲の良い国同士であって、この時代に多くの日本文化や伝統を吸収した台湾。今でも台湾のお爺ちゃんやお婆ちゃんの世代は日本語を話せる人が多い。また日本から教えてもらった「野球」を大切にし、台湾でも大人気のスポーツである事は有名な話であろう。尊敬の意も込めて、国際試合で日本に勝つ事を1つ大きな目標としている台湾チーム。非常に嬉しい。思い出すのは2013年のWBC。日本と台湾はこれまでに無いほどの激闘を繰り広げ、結果的に延長に入り日本が勝利をおさめたが、あの試合は一生忘れられない。きっと日本のプロ野球ファンの方であれば、全員が忘れられない試合であったであろう。

まあそんな話は置いといて、この映画、何が良いかというとキャスト陣が基本的に野球経験者ばかり。つまり「野球映画」にありがちな下手くそすぎてノイズになるということもなく自然に観れることがポイントの一つ。
試合そのものの激アツ展開は、もちろんだが、監督役を演じた永瀬正敏が素晴らしい。寡黙な人物ではあるものの、しっかりと選手を鼓舞し、勝利へと導く。冒頭に記述したセリフのシーンであるが、嫌味を言う記者に対しての怒りの言葉の数々。胸打った。

台湾代表として甲子園に出場したこと。チームが日本人数人と台湾人で構成されていたということ。そして素晴らしい成績を収め、後に台湾野球の発展に繋げたこと。

この映画は、日本にとっても、台湾にとっても野球の歴史の重要なポイントを抑えている。そんな作品であった。
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