「カンタベリー物語」
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督作品。「お下劣」という言葉はこの作品のためにあるんじゃないかと思うほど、下品な作品。しかし、それが人間の本性なんじゃないかと思うと恐ろしい。
数分から数十分の作品が寄せ集められたオムニバス形式の作品だが、それぞれが繋がっている訳でもないし、テーマに一貫性があるわけでもない。まさに「語る楽しみのために書かれた物語」だと思う。
どの作品も印象的だが、チャップリンみたいな男が登場する話と窓際に並ぶ二つの尻、そしてラストの地獄の描写が非常に印象的だった。特に地獄の描写はその衝撃故に開いた口が塞がらなかった。これほど衝撃的なシーンもなかなかないと思う。
裸やセックスは当たり前のように無修正で登場し、内容も倫理や宗教などお構いなしと言わんばかりの自由奔放な作品にも関わらず、ベルリンで金熊賞を受賞していることは非常に興味深い。世界三大映画祭の内で、ベルリンだけは作品の傾向が本当にわかりにくい。
パゾリーニの遺作でもある「ソドムの市」も本作と並ぶほどヤバい映画だそうなので、機会があったら鑑賞したい。