海

アメリカン・スリープオーバーの海のレビュー・感想・評価

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自分の気持ちが伝わるほど誰かを想ったことある?夜眠ることも忘れて、一生分のキスとロマンチック。息を継ぐのも忘れて、夜の雨のクロール。夜が明けるまではまだ今日のうち。真っ赤に熟すこともなくいまだ水のように青いままの、胸のうちの炎。どんなに夜通し踊り続けても、わたしにはあなたが物足りない。破れた花の真ん中にあなたが入ってく夢を見る、聴きなれぬことばを適当に繰り返す、プールは体液でできた海だとかおまえの体は砂漠だとか、今夜はくものうえの天使が全滅して降ってきても絶対おどろいたりできない。神さまの作ったはずの世界にもう本人は不在であろう、子どもたちは嘘で本心を語るよ。真夜中は海、音楽は風、恋心は魚、わたしたちは星くず。手放したくないほど退屈だ。みだれてさみしい。くずれてつよく。さよなら、気持ちが伝わるほどに、なにもかも好きだった最後の夜よ。
海