シュンティ

繕い裁つ人のシュンティのネタバレレビュー・内容・結末

繕い裁つ人(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

見る前は、そこまで期待していなかった作品。

でも、見てみると、ぐいぐい引き込まれていく。
取り立てて、すごいストーリーというわけでもないのに。

それはきっと、出てくるものが本物だからだと思う。
仕立ての良い服は、デザインこそ流行のそれではないが、普遍的な良さを見せつけてくれる。
劇中のセリフで「服を数ヶ月で売ったり捨てたりする人間にこの服の良さは分からない」というのがあるが、まさにその通りで、何十年と着ることの出来る服は、それにあった
思想がまず必要で、そうでないとただの消耗品になってしまう。

そして、なんといっても綺麗だったのはウェディングドレスだ。
あの綺麗さを見たら、つい自分の結婚式の相手にもオーダーメイドのドレスを、と思ってしまう。(ま、お値段は張るだろうが)

仕立屋は、着る人がいてこそ成り立つもの。
そして、自分の意匠を形にしてこそ、仕立屋の本懐と言えるのではないか。長らく、祖母の仕事に縛られていた市子も、ようやく自分の道を歩き始めたんだろうな、ぐらいのところで終わってしまった。もう少し続きが見たかったが、まぁこれぐらいが妥当だろうか。